旅慣れたあなたも、きっとまだ知らないであろう、神奈川県鎌倉市にある「明月院(めいげついん)」をご紹介します。このお寺は、鎌倉の古刹の中でも特に静かで趣深く、日本人でさえもその魅力の全てを知らないと言われるほどの奥深さを持っています。今回は、初めて鎌倉を訪れる外国人観光客の皆様にも分かりやすく、明月院の魅力を徹底解説!その歴史、見どころ、そして旅をより豊かにするヒントをお届けします。
明月院の歴史:禅と武士の時代を映す古刹
明月院の歴史は古く、その起源は鎌倉時代初期、13世紀にまで遡ります。もともとは、足利尊氏の祖父である足利家時が、祖父の菩提を弔うために創建した禅興寺(せんこうじ)という寺院の一部でした。その後、応永年間(1394年~1428年)に上杉憲方(うえすぎのりかた)によって再興され、臨済宗建長寺派の寺院となりました。
明月院という名前になったのは、室町時代後期の1452年。この頃、この地にあった花厳経寺(けごんきょうじ)の別院となり、その本尊であった釈迦如来坐像にちなんで「明月院」と称されるようになりました。
戦国時代には、上杉氏と北条氏の争いの舞台ともなり、寺領を巡る戦乱に巻き込まれることもありました。江戸時代に入ると、江戸幕府の保護を受け、寺勢は再び盛んになります。しかし、明治維新後の神仏分離令により、禅興寺から独立し、現在の臨済宗円覚寺派の明月院として、独立した寺院としての道を歩み始めました。
このように、明月院は鎌倉の激動の時代と共に歩み、多くの歴史の証人となってきたのです。
明月院の魅力:知られざる見どころと「あじさい寺」の秘密
明月院と聞けば、多くの日本人は「あじさい寺」という言葉を思い浮かべるでしょう。しかし、その魅力はあじさいだけではありません。
1. 「明月院ブルー」に包まれるあじさいの季節(6月)
- 見ごろ: 6月上旬~6月下旬
 - 特徴: 明月院のあじさいは、一重咲きの「ヒメアジサイ」が中心です。その淡く鮮やかな青色は「明月院ブルー」と呼ばれ、多くの人々を魅了します。例年、この時期は大変な混雑となりますが、それでも訪れる価値は十分にあります。
 - 注意点: 混雑を避けるためには、早朝の訪問がおすすめです。また、6月のみ、通常は非公開となっている本堂の奥にある「百日紅(ひゃっくり)」の庭園(枯山水)が特別公開されます。
 
2. 静謐な「悟りの窓」と「丸窓」
- 特徴: 本堂の奥にある「方丈(ほうじょう)」という建物には、円形の「丸窓」があります。この窓から見える庭園の風景は、まるで禅画のよう。静かに座って、この窓から見える自然の移ろいを眺める時間は、心を落ち着かせてくれます。
 - 歴史: この丸窓は、禅の教えにおける「空」や「円満」といった概念を象徴しているとも言われています。
 
3. 歴史を感じさせる静寂な庭園
- 特徴: 明月院の庭園は、派手さはありませんが、手入れの行き届いた自然の美しさが際立っています。特に、本堂の裏手にある「明月院谷戸(やと)」と呼ばれる庭園は、春には桜、夏には緑、秋には紅葉と、四季折々の表情を見せてくれます。
 - 穴場: 多くの観光客があじさいの時期に集中しますが、それ以外の季節も、静かに庭園を散策するのに最適です。特に、新緑の時期や紅葉の時期は、日本の庭園の美しさを存分に味わうことができます。
 
4. 鎌倉独特の「谷戸」の風景
- 特徴: 鎌倉の地形は、山が海に迫り、その間に谷が入り組んでいます。明月院も、このような「谷戸」と呼ばれる地形に位置しており、周囲の緑に囲まれた静かな環境が保たれています。この谷戸の風景こそが、明月院の落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
 
旅のヒント:服装、持ち物、アクセス、費用
1. 服装と持ち物
- 服装: 鎌倉は夏は蒸し暑く、冬は風が冷たいことがあります。春や秋は過ごしやすいですが、寺院内は石畳や階段が多いので、歩きやすい靴は必須です。特に夏場は、日差しが強いので帽子やサングラス、日焼け止めがあると良いでしょう。
 - 持ち物:
- 歩きやすい靴: 最重要です!
 - カメラ: 美しい景色を収めるために。
 - 飲み物: 特に夏場は熱中症対策に。
 - 雨具: 天候が変わりやすいので、折りたたみ傘があると安心です。
 - 現金: 拝観料やお土産購入に必要です。
 - 虫除けスプレー: 自然豊かな場所なので、虫がいることもあります。
 
 
2. アクセス方法
- 電車:
- JR横須賀線・江ノ電 鎌倉駅から:
- 江ノ電に乗り換え: 江ノ電「鎌倉駅」から「明月院駅」まで乗車(約20分)。明月院駅からは徒歩約10分。
 - バス: 鎌倉駅東口バス停から「大船駅」行き、または「戸塚駅」行きなどに乗車し、「明月院前」下車。徒歩すぐ。
 
 - JR横須賀線 大船駅から:
- バス: 大船駅笠間口バス停から「鎌倉駅」行きなどに乗車し、「明月院前」下車。徒歩すぐ。
 
 
 - JR横須賀線・江ノ電 鎌倉駅から:
 - 車: 鎌倉市街は道が狭く、特に週末や観光シーズンは大変混雑します。駐車場も限られているため、公共交通機関の利用をおすすめします。もし車で行く場合は、事前に駐車場の情報を調べておくか、市営駐車場などを利用するのが良いでしょう。
 
3. 費用(目安)
- 拝観料: 500円(高校生以上)。小・中学生は無料。
- ※あじさいの時期(6月)や紅葉の時期など、特別公開期間中は拝観料が変更される場合があります。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。
 
 - 交通費:
- 都内(東京)から鎌倉まで電車で片道1,000円~1,500円程度(利用する路線によります)。
 - 鎌倉駅~明月院駅(江ノ電)片道200円。
 - 鎌倉駅~明月院前(バス)片道210円。
 
 - 食費: 鎌倉には美味しい飲食店がたくさんあります。ランチで1,500円~3,000円程度、軽食やお茶で500円~1,000円程度を見ておくと良いでしょう。
 - お土産: 500円~数千円(お好みで)。
 
1日観光の総額目安: 交通費、食費、拝観料、お土産代を含めると、7,000円~15,000円程度を見積もっておくと安心です。
まとめ:静寂の中に隠された真の美しさを求めて
明月院は、単なる観光名所ではありません。それは、訪れる人々に静寂と内省のひとときを与えてくれる、まさに「隠れた名所」です。あじさいの時期の華やかさだけでなく、それ以外の季節にこそ、その本当の魅力が顔を覗かせます。
都会の喧騒から離れ、歴史の息吹を感じながら、静かに庭園を散策する。そんな贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの旅の記憶に深く刻まれるはずです。
Next time you visit Japan, consider exploring the tranquil beauty of Meigetsuin Temple – a hidden gem in Kamakura that even some locals may not fully appreciate. It’s an experience that transcends mere sightseeing, offering a moment of peace and reflection in a truly historic setting.
  
  
  
  

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