はじめに:ようこそ、神々の宿る島へ
皆さん、こんにちは!この度は、日本、そして広島の魅力に触れようと、遥々お越しいただき、誠にありがとうございます。私はこの土地の歴史を長年研究してきた者として、皆さんに宮島、正式には「厳島(いつくしま)」の魅力を、地元の人々でさえ見過ごしがちな、あるいは知る人ぞ知る「隠れた名所」を中心に、たっぷりとご紹介させていただきます。
宮島と聞くと、多くの方は「海に浮かぶ大鳥居」を思い浮かべるかもしれません。もちろん、それはこの島の象徴であり、世界遺産にも登録されている、それはそれは素晴らしい光景です。しかし、宮島には、それだけではない、数えきれないほどの歴史の息吹と、静謐なる自然が息づいています。まるで、時が止まったかのような、あるいは、時を越えてきたかのような、そんな感覚を味わえる場所なのです。
今回の記事では、定番の観光スポットはもちろんのこと、少し足を延ばすことで出会える、より深く、よりパーソナルな宮島体験へと皆さんをご案内いたします。初めて日本を訪れる方にも、あるいは、すでに日本に精通されている方にも、きっと新しい発見があるはずです。さあ、歴史と自然が織りなす神秘の島、宮島への旅を始めましょう。
Hello everyone! Thank you very much for coming all the way here to experience the charms of Japan and Hiroshima. As someone who has studied the history of this land for many years, I would like to introduce to you all the charms of Miyajima, or officially “Itsukushima,” focusing on the “hidden places” that even the locals tend to overlook, or those who know about them.
When you hear the word “Miyajima,” most people may think of the “Otorii (Grand Gate) floating in the sea. Of course, that is the symbol of the island and a World Heritage Site, and it is a wonderful sight to behold. However, Miyajima is not only a symbol of the island, but also a place where countless historic sites and serene nature are still alive. It is a place where one feels as if time has stood still, or as if one has stepped back in time.
In this article, we will guide you not only to the standard tourist attractions, but also to the deeper, more personal Miyajima experience that you can encounter by going a little further. Whether you are visiting Japan for the first time or are already familiar with the country, you are sure to discover something new. Let us begin your journey to Miyajima, a mysterious island of history and nature.
宮島(厳島)とは?:その歴史的背景を紐解く
宮島は、広島湾に浮かぶ周囲約30kmの島で、古くから「神の島」として崇められてきました。その歴史は古く、奈良時代(8世紀頃)にはすでに「安芸の宮島」として知られ、多くの信仰を集めていたことが記録に残っています。
島の名前「厳島」は、その神聖さ、畏敬の念を表しています。特に、海上に鎮座する「厳島神社」は、約1400年以上の歴史を持つとされ、平安時代(794年~1185年)には、源氏の祖である「松良」が、平家一門の繁栄を祈願し、社殿を造営したことで、ますますその名を知られるようになりました。その後も、豊臣秀吉が能舞台を奉納するなど、時の権力者たちの篤い信仰を集め、今日に至るまで、その姿を変えることなく私たちを迎えてくれます。
この島が「宮島」と呼ばれるようになったのは、単に「神が宿る場所」という意味合いから、より親しみやすい呼び方として定着していったと考えられています。
なぜ「隠れた名所」があるのか?
宮島は、その美しさから世界中から観光客が訪れます。しかし、多くの人は、フェリー乗り場から厳島神社、そして弥山(みせん)の頂上へと向かうルートに沿って観光を済ませてしまいがちです。
しかし、この島には、古の伝承が残る小さな祠、苔むした石畳の道、地元の人々しか知らない絶景ポイント、そして、時を経てなお大切に守られてきた伝統工芸の工房など、まだまだ知られざる魅力が数多く眠っています。今回の記事では、そうした「隠れた名所」に光を当て、皆さんの宮島滞在をより豊かなものにするお手伝いをしたいと考えています。
宮島への行き方:スムーズな旅の始まり
宮島へは、主にJRとフェリーを乗り継ぐのが一般的です。
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広島市内からJRで宮島口へ:
- 広島駅からは、JR山陽本線で「宮島口駅」まで約25分です。普通列車、快速列車ともに利用できます。
- 費用: JR運賃は約240円です。
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宮島口港からフェリーで宮島へ:
- 宮島口駅から徒歩約5分で、宮島口フェリーターミナルに到着します。
- JRフェリーと松大(しょうだい)フェリーの2社が運行しており、どちらも所要時間は約10分です。
- 費用: フェリー運賃は片道180円です。(2023年10月現在)
- ポイント: JRフェリーは、JRパスの利用者であれば無料で乗船できます。また、JRフェリーは、海からの厳島神社の鳥居の眺めがより美しい場合があります。
「隠れた」アクセス方法:
- 高速船「シーパス」: 広島港(宇品)から宮島まで直接結ぶ高速船もあります。所要時間は約40分です。時間に余裕がない場合や、広島湾からの景色を楽しみたい方におすすめです。ただし、費用はJR+フェリーより高めになります。
- 水上タクシー: よりプライベートな移動を求めるなら、水上タクシーも選択肢の一つですが、費用はかなり高額になります。
宮島で体験したい!定番から穴場までのおすすめ観光名所
【定番中の定番】外せない絶景
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厳島神社と海上に浮かぶ大鳥居:
- 言わずと知れた宮島のシンボル。満潮時には海上に、干潮時には歩いて鳥居の足元まで行くことができます。潮の満ち引きで表情を変える姿は、何度見ても感動的です。
- 隠れた楽しみ方: 干潮時に、鳥居の真下まで歩いてみましょう。その大きさと神聖さを肌で感じることができます。また、夜のライトアップされた鳥居も幻想的です。
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弥山(みせん):
- 標高535mの宮島の最高峰。ロープウェーと徒歩で山頂まで行くことができます。山頂からは、瀬戸内海に浮かぶ島々の絶景が360度広がります。
- 隠れた楽しみ方: ロープウェーの途中で降り、自然研究路を歩いてみましょう。静かな森の中、珍しい植物や野鳥に出会えるかもしれません。また、山頂付近にある「弥山原始林」は、国の特別天然記念物に指定されており、その手つかずの自然は必見です。
【地元民が愛する隠れた名所】
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大聖院(だいしょういん):
- 厳島神社のすぐ近くにある、約1200年の歴史を持つ真言宗のお寺です。弥山登山の入り口にもなっています。
- 隠れた魅力: 境内には、33体の観音様を祀る「三十三観音堂」や、願いを叶えると言われる「遍照窟(へんじょうくつ)」など、見どころがたくさんあります。特に、洞窟内の「多宝塔」は、静かで神秘的な空間です。また、本堂の裏手にある「観音堂」から眺める瀬戸内海の景色も、あまり知られていません。
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千畳閣(せんじょうかく)/豊国神社(ほうこくじんじゃ):
- 豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に、戦勝祈願のために建立を命じた広大な建物です。千枚の畳が敷けるほどの広さがあったことからこの名がつきました。
- 隠れた魅力: 実は、この建物は未完成のまま残されています。その天井の高さと、壁のない開放感は、独特の趣があります。壁がないため、風が吹き抜ける様は、まるで自然との一体感を感じさせます。また、豊国神社の扁額は、豊臣秀吉が自ら書いたものと伝えられています。
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紅葉谷公園(もみじだにこうえん):
- 秋には見事な紅葉で知られる公園ですが、それ以外の季節でも、静かで美しい散策路が楽しめます。
- 隠れた魅力: 公園の奥には、かつて島民が利用していた古い水道橋の跡が残っています。歴史を感じさせる石造りの橋は、写真スポットとしてもおすすめです。また、春には桜、夏には新緑、秋には紅葉と、四季折々の自然の美しさを満喫できます。
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大願寺(だいがんじ):
- 厳島神社のすぐ西側にある、静かで落ち着いた雰囲気のお寺です。
- 隠れた魅力: ここには、源頼朝が奉納したと伝わる「白蛇大神」が祀られています。白蛇は、弁財天の化身とも言われ、金運や芸事にご利益があるとされています。また、境内にある「五重塔」は、国指定重要文化財で、その優美な姿は一見の価値があります。
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宮島歴史民俗資料館:
- 島の歴史や文化、民俗資料などが展示されています。
- 隠れた魅力: 多くの観光客は素通りしてしまいますが、ここでは、島に伝わる古文書や、昔の漁具、生活道具など、地元の暮らしぶりが垣間見られる貴重な展示品を見ることができます。島の奥深い歴史を知るには最適な場所です。
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島民の生活道路を歩く:
- メインストリートから少し外れた細い路地に入ってみましょう。そこには、地元の人々が暮らす昔ながらの風景が広がっています。
- 隠れた魅力: 昔ながらの瓦屋根の家々、ひっそりと佇む小さな神社、猫が日向ぼっこをしている風景など、都会では見られない、ゆったりとした時間が流れています。思わぬ発見があるかもしれません。
宮島グルメ:舌で味わう島の恵み
宮島は、海の幸、山の幸に恵まれた美食の島でもあります。
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牡蠣(かき):
- 宮島といえば、やはり牡蠣!ぷりぷりの身と濃厚な旨味は格別です。焼き牡蠣、カキフライ、牡蠣雑炊など、様々な調理法で楽しめます。
- おすすめ: 牡蠣料理専門店はもちろん、フェリー乗り場周辺の屋台でも手軽に味わえます。
- 隠れた楽しみ方: 季節限定の「生牡蠣」は、その時期ならではのフレッシュな味わいが楽しめます。
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あなごめし:
- 宮島周辺で獲れる肉厚のあなごを、秘伝のタレでじっくりと煮込み、ご飯に乗せた郷土料理です。
- おすすめ: 有名店がいくつかありますが、どこも絶品です。
- 隠れた楽しみ方: 骨まで柔らかく煮込まれているので、骨まで美味しくいただけます。
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もみじ饅頭:
- 宮島の銘菓として有名ですが、中身はこしあん、粒あん、クリーム、チョコレートなど、種類豊富です。
- 隠れた楽しみ方: 最近では、「揚げもみじ」という、外はカリッと、中は熱々の新しい食感のもみじ饅頭も人気です。温かいものは格別です。
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しゃもじ:
- 宮島は、杓文字(しゃもじ)の産地としても有名です。
- 隠れた楽しみ方: 観光客向けの大きなお土産品だけでなく、実際に料理に使える小さめのしゃもじや、デザイン性の高いしゃもじも販売されています。お土産に、あるいは自宅用にいかがでしょうか。
宮島での服装と持ち物:快適な旅のために
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服装:
- 基本: 動きやすい服装と靴が一番です。特に、弥山に登る場合は、スニーカーなどの歩きやすい靴は必須です。
- 季節:
- 春(3月~5月): 暖かくなりますが、朝晩は冷え込むことも。羽織るものがあると安心です。
- 夏(6月~8月): 蒸し暑いです。Tシャツ、短パンなどで過ごせますが、日差しが強いので、帽子やサングラス、日焼け止めは必須です。
- 秋(9月~11月): 過ごしやすい気候です。紅葉の時期は特に美しく、多くの観光客で賑わいます。
- 冬(12月~2月): 海風が冷たく感じられます。厚手のコートやマフラー、手袋があると良いでしょう。
- その他: 厳島神社は、海上に建っているため、風が強い日があります。スカートの場合は、風でめくれ上がらないように注意が必要です。
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持ち物:
- カメラ: 美しい景色を写真に収めるために。
- モバイルバッテリー: スマートフォンで地図を見たり、写真を撮ったりと、バッテリーの消費は激しいので、あると便利です。
- 雨具: 急な雨に備えて、折りたたみ傘やレインコートがあると安心です。
- 現金: 商店や飲食店の中には、現金のみしか対応していない場所もあります。
- (必須): 「歩きやすい靴」、「羽織れるもの」(特に春・秋)、「日焼け止め・帽子」(夏)。
宮島での注意点:安全に、そして楽しく
- 鹿との触れ合い:
- 宮島には野生の鹿が数多く生息しています。人慣れしているため近づいてきますが、絶対に餌を与えたり、触ったりしないでください。 鹿せんべい以外を食べると、鹿の健康を害する可能性があります。また、驚いて噛みついたり、ひっかかれたりする危険性もあります。
- ゴミの持ち帰り:
- 島内は、ゴミ箱の設置が限られています。持ち込まれたゴミは、必ず持ち帰るようにしましょう。
- 静かに過ごす:
- 宮島は、古くから神聖な場所として崇められてきました。特に、神社仏閣では、静かに、そして敬意を持って参拝しましょう。
- 交通:
- 島内の移動は、徒歩が中心となります。距離のある場所へ行く場合は、レンタサイクルや、町内を巡回するバスの利用も検討しましょう。
- 満潮・干潮時間の確認:
- 厳島神社の鳥居を最大限に楽しむためには、潮見表を確認することをおすすめします。満潮時には海上に浮かぶ幻想的な姿、干潮時には足元から見上げる迫力ある姿、どちらも魅力的です。
宮島での予算目安
宮島での旅にかかる費用は、旅のスタイルによって大きく変わります。以下に、一般的な目安を示します。
- 交通費(往復):
- 広島市内からJR+フェリー利用の場合: 約840円~(JRパス利用者は無料)
- 観光費:
- 厳島神社拝観料: 300円
- 弥山ロープウェー往復: 1,840円
- 大聖院: 無料(お布施は任意)
- 千畳閣: 100円
- 合計(厳島神社+弥山ロープウェー+千畳閣): 約2,240円
- 食事費:
- 昼食: 1,000円~3,000円(あなごめしなどのご当地グルメはやや高め)
- 軽食(もみじ饅頭、焼き牡蠣など): 500円~1,500円
- 夕食(島内宿泊の場合): 3,000円~10,000円(旅館・ホテルによる)
- 宿泊費(島内):
- ビジネスホテルクラス: 7,000円~15,000円/泊
- 温泉旅館クラス: 15,000円~30,000円/泊以上
- お土産代:
- 個人差が大きいですが、1,000円~5,000円程度
【1日観光の場合の目安】 交通費 + 観光費 + 昼食 + 軽食 + お土産代 = 約5,000円~10,000円 程度
【島内宿泊の場合の目安(1泊2日)】 交通費 + 観光費(2日間) + 食事代(2日間) + 宿泊費 + お土産代 = 約20,000円~50,000円 程度
※上記はあくまで目安です。早割やパックツアーなどを利用すると、よりお得に旅ができる場合もあります。
結びに:宮島の「心」に触れる旅を
いかがでしたでしょうか?宮島は、その美しい景観だけでなく、豊かな歴史、そして人々の温かさに触れることができる、まさに特別な場所です。今回ご紹介した「隠れた名所」は、ほんの一部に過ぎません。
この島を訪れる際は、ただ有名なお寺や神社を巡るだけでなく、少し立ち止まって、その場の空気を感じ、歴史に思いを馳せ、地元の人々の暮らしに触れてみてください。きっと、皆さんの心に深く刻まれる、素晴らしい旅になるはずです。
この地で、皆さんの人生における新たな発見と感動がありますように。
それでは、どうぞ良い旅を!


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